日中に「あくびが出る」「眠い」「横になりたい」「ちょっとしたことが思い出せない」「熱心になれない」「考えがまとまらない」「いらいらする」「肩がこる」「腰が痛い」…。「以上、老人施設でのアンケートでした」と聞けば、「さもありなん」と思いますが、実は、これは2004年度に東京都の小学生、中学生対象に行われた「疲労自覚調査」での回答です。
『睡眠の生理と臨床』の著者、神山潤先生(東京北社会保険病院・副院長)のレポートによれば、世界の子供たちの就寝、起床、睡眠時間を比較すると、日本の子供たちは異常に”夜更かし”であることがわかります。例えば、0歳〜3歳までの赤ちゃんが寝る時刻で、「就寝が夜10時以後」という子は、ドイツ16%、フランス16%、イギリス25%、スウェーデン27%、日本は突出して46.8%でした。
一方、中学生の国際比較でも、平均睡眠時間が一番少ないのは日本の中学生。また、高校生になると、アメリカでは、夜11時までに寝る子が6割。中国でも夜11時までに寝る子は5割、0時を過ぎて寝る子は1割でしたが、日本の高校生は、0時を過ぎて寝る子が6割です。もちろん、夜更かしは子供だけではありません。巷では24時間営業の店が増え、深夜のファミレスにも人は絶えず、家庭でも大人たちが夜遅くまで起きています。
当然のことながら、夜更かしをすれば睡眠時間は短くなります。2005年の調査では、「学校で3、4時間目に眠くなりますか」という質問に対して、「はい」と回答した小学生は男子が5割、女子は6割。中学生ではさらに多く、男子の7割、女子の8割に及んでいます。
午後の2時頃に眠くなるのは、人間の体内時計の自然な兆候として問題はないのですが、授業時間の3、4時間目というのは午前10時〜12時頃で、最も目がさめて、頭が冴えているはずの時間帯なのです。その時間にこの有様では、授業に集中は無理でしょう。
2006年度の国際学力調査では、日本は2000年、2003年に続いて、さらに大きく順位が後退しました。文部科学省では、「ゆとり教育」を見直し、授業時間数を少し増やすことにしましたが、問題は、時間数を増やしただけでは解決しそうにありません。授業に出ていても集中できなければ学力はつかないからです。
「きっと遅くまで起きて勉強しているんだろう」と思いたいが、どうもそれもあやしい。2003年の調査では、日本の中学生の自宅学習の平均時間は1時間で、世界最低。反対に、「自宅でテレビ・ビデオを見る時間」は、平均2.7時間。世界でトップでした。
「なぜ、遅くまで起きているのか」という質問には、「テレビやビデオ」「なんとなく」「読書」…といった回答が多かったが、「家族が遅いからなんとなく遅くなってしまう」という声も多かったので、大人自身が早寝・早起きの習慣に切り替える必要がありそうです。
神山先生は、以下の理由で”早寝・早起き・朝ごはん”を奨励しています。
■ まつもと・ゆうじ
中央大学卒。会社役員・団体役員等を歴任。その傍ら、子供の教育、結婚問題、家庭問題の研究とカウンセリングにあたる。全ての家庭問題の解決の鍵は、夫婦仲の改善にかかっているとの視点から、「家庭と未来研究所」を設立、家庭再建運動に力を注いでいる。講演の対象は、若者から老夫婦まで幅広い層にわたっているが、明快でなごやかな話の中にも、家族関係改善の秘訣が的確に示されることで定評がある。現在、家庭と未来研究所所長 著書に「二人で学ぶ うまくいく夫婦仲の法則」「ほめられたい夫、愛されたい妻」など。